介護生活No20「介護と仕事の両立5」

家族の責任感とケアマネの連携で続ける在宅介護

ある専業農家の例です。

80代後半のお母さんは認知症に加えて足腰も弱ってこられ、手を引いてやっと歩ける程度。

60代の息子さんは 農業に専従。

日々、広い田畑でのお仕事で主たる家計を担っています。

早くに奥様を亡くされた息子さんですが、「介護は自分の責任で」ときちんと仕事の計画を立て、早めにケアマネさんに連絡、月の10日~15日をショートステイ、残りはデイサービスで賄い、土日はおうちで介護です。

もちろん、お孫さん夫婦も手伝ってはくれますが、なるべく手を煩わせたくないと、夜間は息子さんが自ら2時間おきにトイレに連れて行き、ショートやデイの前には持ち物準備、薬の間違いもないように気をつけておられるとか。

特に大変な農繁期。田畑でも携帯電話を離さず、緊急連絡に備えてはいます。

でも、機械を動かしていれば、電話の呼び出し音が聞こえないし、仕事を中断できない事も多いといわれています。

そんな時に頼りになるのは、長いお付き合いのケアマネさんだそうです。

受診の日ちにや、ご本人の病気の事もよくわかってくれているとともに、息子さんのお仕事や介護の姿勢を理解してくれているので、ショートステイ中に体調不良があっても、状態をよく見極め、主治医との連絡を取りつつ、

「この程度なら、次の受診が近いからもう少し様子を見て・・・」

など、事業所との交渉も好意的に引き受けてくれます。

天候の都合で予定どおり、農作業がはかどらないときは、何度となく、サービスの延長や変更をしてくれたようです。

一昨年の冬場は肺炎から極端に体力が低下、歩くことも難しくなってしまいましたが、入院とその後のショートステイで乗り越えました。

ケアマネさんがしょっちゅうご本人を訪ねて、看護師さんや介護士さんらと話しあい、食事やリハビリに気を配ってくれたおかげで、何とか手引きであるけるまでに回復、無事おうちに戻ってこられました。

お母さんの口から出るのは、いつも息子さんへの感謝の言葉。

なんでも話し合える。家族とケアマネさんの信頼関係、事業所の協力が、今日もお母さんを支えています。