介護生活No5「母の日に」

母の日の出来事

5月11日は母の日でした。皆さんはどんな母の日を過ごされたでしょうか?
私は、朝から夫と口論をしてしまいました。原因は母の事。

 

同居している母は、今とても大変な容態。常に自分に関心が向いてないと許せない状態で、常に興奮しています。

例えば、母に食事をさせている間は機嫌がいいのですが、続いて私が食べていると

「あんた、何一人だけ食べとるの。私にはおかゆしか食べさせんくせに」と言い、

何か反論しようものなら、

「物を食べながらしゃべるなって、学校で習わんかったか」

と、どなるのです。

とにかく、口が達者でその場限りの会話だけなら、

「本当に認知症のなの?」「わざといっているのでは?」と思えるほど。

 

「お茶ももらえんのか」

「横になったらあかんのか」

「おしっこ連れて行ってくれんのか」

 

続けざまに金切り声で叫びどおし。

相手が食事中であろうが、アイロンをかけていようが、調理中であろうが、全くお構いなしです。

母は歩けるのですが、トイレの位置が分からず、しっかりズボンやパンツを下げたりあげたりすることができないため、トイレの時はついていかないといけません。

ストロー付きキャップのついたペットボトルを常に用意してありますが、口元まで持っていかなければどこにあるかわかりません。

そしてあの暴言。

母の面影は・・・。

あのしっかり者で聡明だった母の、どこにこんな語彙が隠されていたのかと思うほどの、突き刺すような、明らかに、人を傷つけようとして発せらているとしか思えない言葉の数々。

トイレへ連れて行き、後始末をしていると、

「殺すって言ったな」

という。

「誰がそんなこと言ったの」

と聞き替えると、

「てめえがよ。人殺し」

実の母親から「てめえ」「人殺し」と、言われる情けなさ。

認知症だから、と解っていても、腹が立ち、ついきつい言葉で言い返してしまいます。

暴言の行方

暴言は、私だけでなく、家族のだれにでも向けられます。

特に、父に対してはひどいのですが、諦めているように見える父でさえ、時に堪えかねるときがあるようです。

母と接する時間の短い私の夫に対してもそれは例外ではなく、夫は本気で腹を立てているのです。

で、口論となったわけです。

認知症でなくても、介護を要する人が家族にいる時、家族が気持ちをひとつにして協力しあわなければ、在宅介護はとてもつらいものになります。

今年は、悲しくて、涙が止まらない母の日になってしまいました。

「ぽーれぽーれ」通巻334号 2008年5月25日発刊より抜粋