介護生活No16「介護と仕事の両立」1

「母親の介護を息子一人で・・・。電話相談員当に相談

女房の買い物の付き合いでマーケットを打とうとしていた時、一回り以上年下のA君が買物かごを下げて食料品を買っているのに出会った。

そして、疲れきった顔をしているのに驚き、最近の生活の様子を聞かせてもらった。

A君の話を要約すると、

「父親が亡くなったと、母親と二人暮らし。そして、最近、母親の様子がおかしくなり、炊事・選択・掃除等の家事を全てA君が一人でしている。昼食時間に自宅へ帰り、母親に食事を食べさせている。夕方になると母親が精神的に不安定になるので4時までの勤務にしてもらっている。仕事をしていても母親のことが気になって落ち着いて仕事が出来ず、精神的ににも肉体的にも疲れ切り、今にも倒れそう」

ということである。

そこでA君に市役所の包括支援センターで今の生活の様子を聞いてもらい、デイサービスなどの介護サービスを受けるように勧めた。

2か月近くしてから、A君から連絡があり、週2回、自宅の近くのデイサービスに行けるようになったと連絡があり、週2回でも専門の方に預かってもらえるのはありがたいと喜んでいた。

しかし、話を聞いてみると、デイサービスからの帰りの時間の関係で4時頃までの勤務が続いているとのことであった。

そこで、家族の会の電話相談員に

「月曜日から金曜日までデイサービスに行けないか。そして、仕事を終える6時頃までデイサービスを延長してもらえないか。」

こんな事を信頼できる人だからありのままを話して相談に持ってもらうように勧めた。

また、私の方からも相談員に事情を話しておいた。

 

1カ月ほどしてから、再びA君から連絡があり、デイサービスの事は希望通りになり、さらに、ケアマネジャーの方から月2回ショートステイをすることも進められ、お世話になっているとのことであった。そして、とても楽になり、こんなに楽をしてもいいのかと思うと話してくれた。

A君、今は、以前と同じように仕事に専念することもでき、A君持ち前の明るさと元気を取り戻してくれた。

年末年始は、母親との時間を大切にして日頃できなかったことをしてやりたいと話してくれた。

A君の「介護と仕事の両立」がうまく進めることができたのは

  1. A君の勤務先の理解があったこと
  2. A君が一人で抱え込まず、勤務先の同僚、包括支援センター、電話相談員、ケアマネジャーに全て話し、相談にのってもらったこと
  3. 電話相談員がA君の話を包括支援センターへ出向き、相談してくれたこと。包括支援センターもケアマネジャーと連絡を取り合ってくれたこと。

などが考えられる。

その後、A君は今後、進行すると予想される母親の認知症について、学び、また自分を支えるために「家族の会」に入会しました。

「ぽーれぽーれ」通巻348号 2010年1月25日発刊より抜粋
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